【米国株式市場サマリー】ナスダック5連騰で最高値更新、ダウは下落(7月18日)

7月18日の米国株式市場は、主要株価指数がまちまちな動きを見せる展開となりました。S&P 500はわずかに下落して引けた一方、ハイテク株中心のナスダック総合指数は5営業日連続で過去最高値を更新しました。対照的に、ダウ工業株30種平均は下落しました。

週間ベースで見ると、S&P 500は0.6%高、ナスダックは1.5%高となったのに対し、ダウはほぼ横ばいで推移しました。市場は、好調な企業決算や予想を上回る経済指標を好感する一方で、根強い関税への懸念やFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の行方を慎重に見極める動きも見られました。

経済指標と金融政策の見通し

この日発表された消費者信頼感指数や住宅着工件数は市場予想通りの結果となり、米国経済の底堅さを示しました。最近の消費者物価指数や小売売上高の統計も同様に米経済の強さを示す内容でしたが、これらの好材料は同時に、FRBが近い将来に利下げに踏み切る可能性を低下させる要因ともなっています。

難航する貿易交渉

米国の貿易交渉を巡っては、トランプ大統領がEUからの輸入品全てに対し15%から20%の最低関税を課すよう要求し、従来の合意案を撤回したと報じられています。EU側が提案した自動車関税の引き下げも拒否し、自動車には25%の関税を維持する意向を示すなど、交渉は厳しい状況です。日本にとっても、米国との貿易交渉は難航しています。

主要企業の決算動向

決算発表が本格化する中、各社の株価は内容によって明暗が分かれました。

  • Netflix: 第2四半期の業績は市場予想を上回り、増収見通しも示しましたが、下半期の営業利益率低下見込みが嫌気され、株価は5%下落しました。
  • アメリカン・エキスプレス: カード利用額が過去最高となり、市場予想を上回る決算を発表。しかし、貸倒引当金が前年比11%増加したことが懸念され、株価は2%超下落しました。
  • 3M: 好調な四半期決算を発表したものの、経営陣が世界経済の減速と一部事業の厳しい見通しに言及したことで、株価は4%近く下落しました。
  • チャールズ・シュワブ: トレーディング手数料と純金利収入の増加が好感され、決算発表後に株価は3%上昇し、過去最高値を記録しました。

その他の個別銘柄ハイライト

  • インベスコ: 資産運用会社のインベスコは、人気ETF「インベスコQQQトラスト」の構造をユニット型投資信託からオープンエンド型ETFに変更する計画を発表し、株価は15%急騰。S&P 500構成銘柄で最大の上昇率となりました。
  • タレ・エナジー: 電力会社のタレ・エナジーは、ガス火力発電所2基を総額35億ドルで買収すると発表し、株価は24%以上急騰しました。
  • デル・テクノロジーズ: バンク・オブ・アメリカのアナリストが、同社の一株利益が2030年までにほぼ倍増する可能性を指摘したことで、株価は約6%上昇しました。
  • ブロック: フィンテック大手のブロックは、S&P 500指数の構成銘柄に新たに採用されることが決まり、金曜日の時間外取引で株価は10%以上急騰しました。
  • メガテック株: テスラが約3%上昇したほか、アップル、アマゾン、アルファベット、メタも堅調でした。一方でブロードコムは1%下落し、NVIDIAとマイクロソフトは小幅安で取引を終えました。

市場トピック:AIを巡る動向

1. AIバブルに関する議論 アポロのアナリストは、S&P 500の上位10社が1990年代のITバブル期よりも割高な状態にあるとし、現在のAIバブルはより深刻な可能性があると指摘しています。 一方で、これには異なる見方もあります。例えばマイクロソフトの予想PERは現在35倍ですが、1999年には80倍に達していました。また、1990年代の上位銘柄は業種が多様だったのに対し、現在はほとんどがテック系企業であり、単純な比較は難しいとされています。

2. トランプ政権と「ウォークAI」 トランプ政権は、AIがリベラル寄りの価値観を強調しすぎているとされる「ウォークAI」を対象に、新たな大統領令の準備を進めていると報じられています。この大統領令では、連邦政府との契約を希望する企業に対し、政治的に中立なAIモデルの開発が求められる可能性があります。

3. AI人材の争奪戦 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、AI人材を巡る争奪戦が激化しており、数億ドル規模の報酬での引き抜きが横行しています。メタ・プラットフォームズは、4年総額で3億ドルに達する報酬オファーを提示して、他社から人材を引き抜いていると報じられています。

来週の展望

来週は決算発表がさらに本格化し、S&P 500に含まれる約100社が決算を発表する予定です。特にベライゾン、テスラ、アルファベット、IBM、インテルなどが注目されます。

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