【2025年7月18日】米国株式市場:S&P 500とナスダックが最高値更新、好調な経済指標が追い風

2025年7月18日の米国株式市場は、主要株価指数であるS&P 500とナスダック総合指数がそろって過去最高値を更新しました。ダウ工業株30種平均も最高値に迫る堅調な展開となり、市場は活況を呈しています。好調な経済指標が投資家心理を支えましたが、個別企業の決算内容は明暗が分かれ、今後の市場の方向性を示唆しています。

経済の底堅さを示す指標が相場を牽引

この日の市場を力強く押し上げたのは、発表された主要な経済指標でした。6月の小売売上高が市場の事前予想を上回り、個人消費の底堅さを証明。また、同週の新規失業保険申請件数も予想を下回り、労働市場の健全性が改めて示されました。これらのデータは、米国経済が依然として力強い成長軌道にあることを示唆し、株式市場への資金流入を後押ししました。

しかし、市場には楽観ムードだけが漂っているわけではありません。8月1日に予定されている新たな関税措置が物価上昇を再加速させ、好調な個人消費に水を差すのではないかという懸念もくすぶっており、今後のリスク要因として注視されています。

明暗分かれた個別企業決算

決算発表が本格化する中、個別企業の株価は内容に応じて大きく変動しました。

好調だった企業:

  • ペプシコ (PEP): 海外市場での売上高が力強く伸び、株価は急騰しました。
  • TSMC (TSM): AI(人工知能)関連事業の旺盛な需要を受け、年間の成長見通しを引き上げたことが好感され、株価は大幅に上昇しました。
  • GEエアロスペース (GE) および ユナイテッド航空 (UAL): 両社ともに市場予想を上回る好決算を発表し、それぞれのセクターを牽引しました。
  • ルーシッド・グループ (LCID):ライドシェア大手のUberとの提携が発表され、将来への期待から株価が急騰しました。

不調だった企業:

  • Netflix (NFLX): 決算発表後、今後の見通しに対する懸念から時間外取引で株価が下落しました。
  • エレバンス・ヘルス (ELV): 四半期利益が市場予想に届かず、株価は急落しました。
  • アボット・ラボラトリーズ (ABT): 新型コロナウイルス検査キットの需要減少が響き、業績見通しを下方修正したことで株価が大幅に下落しました。

市場の注目トピック

暗号資産業界に大きな動き 米国議会で、ステーブルコインを合法化し規制下に置く法案「ジーニアスアクト」が可決されました。これはデジタル資産市場における画期的な出来事であり、大手銀行のCEOもステーブルコインを「競合する脅威」と認識し、自社でのトークン発行の可能性を示唆するなど、金融業界の地殻変動を予感させます。

日本経済の状況 日本では、6月のコアインフレ率が食品インフレの鈍化を背景に3.3%へと低下しました。しかし、米国の関税政策が日本の輸出産業に与える影響が懸念されるほか、第1四半期のGDPが輸出の急減によりマイナス成長となるなど、経済の先行きには不透明感が漂っています。

AI技術の進化が止まらない AI分野では新たな動きが続いています。

  • OpenAI: 同社はChatGPT内にeコマースのチェックアウト(決済)機能を直接組み込む計画を発表。AIアシスタントを通じた新たな収益モデルを構築しようとしています。
  • NVIDIA (NVDA): 同社のジェンスン・フアンCEOは、AIの次の大きな波として、物理法則を理解し現実世界でタスクをこなすロボット「フィジカルAI」を挙げています。これは、製造業や物流、医療など様々な分野に革命をもたらす可能性を秘めた技術として注目されます。

総じて、18日の市場はマクロ経済の好調さを背景に上昇しましたが、個別の企業業績や今後の政策リスク、そしてAIのような破壊的技術の動向が複雑に絡み合う展開となっています。来週以降も、これらの要素が市場の重要なテーマとなるでしょう。

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